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浚渫工事(しゅんせつこうじ)とは?必要な資格や工法を解説

一般的に工事と聞くと、道路や建物を造ることを想像する人も多いのではないでしょうか。しかし、工事にはそれ以外にもさまざまな種類のものがあり、中には普段の生活からは想像もできないようなところで工事が行われているケースも少なくありません。
その代表的なものが、浚渫工事(しゅんせつこうじ)です。ここでは、浚渫工事の概要とその工事に必要な資格について解説していきます。

船舶の航路を整備する浚渫工事

浚渫工事とは、「河川や海の底の土砂を取り除き、船舶の通る道を設置する」工事のこと。なぜ船のために土砂を取り除かなければならないのか疑問に思う人がいるかもしれませんが、船舶が海の上を走るためには一定の水深が必要です。
というのも、水深が足りないと、座礁といった重大な事故を引き起こしてしまう可能性があるからです。そうならないよう、港や航路の海底を掘り下げ、船舶が安全に通れる道を造るのが浚渫工事の主な目的です。
浚渫工事を一言でいえば、道路工事の海上版。普段あまり見かける機会はないかもしれませんが、私たちの日々の生活や物流を守っていくために、非常な重要な役割を果たしています。

近年、船はより多くの貨物や人を運べるように大型化しており、それによって港や航路に求められる水深もより深くなってきています。それに伴い、浚渫工事のニーズや重要性もますます高いものとなってきています。
なお、浚渫工事の際に取り除かれた土砂は、埋め立て用の土砂などに利用され、新しい土地の造成のために活用されたりしています。

浚渫工事の工法

浚渫工事の工法には、「ポンプ浚渫工法」と「グラブ浚渫工法」という2つの工法があります。各工法について解説していきましょう。

ポンプ浚渫工法は、主にやわらかい土の現場で使用される工法です。船の先端についた吸水管をストローのように使い、海中の土砂を吸い上げ、海底を掘り下げます。土砂を取り除く作業が早いため、対応できる面積が広く、大量の土砂を取り除く大規模工事の際によく使われます。
また、吸水管にカッターを取りつけたり、ジェット水流で撹拌(かくはん)したり、粘度のある泥にも対応できる特殊ポンプを使ったりすることで、幅広い土質に対応することも可能です。ただし、装置としては比較的大掛かりな物を用意しなければならないため、限られた狭いスペースで作業をするのは苦手で、固い土の場合は効率的に土砂を回収することができません。

グラブ浚渫工法では、グラブバケットと呼ばれるクレーンゲームのクレーンのようなショベルを用いることで、水底の土砂を取り除きます。ポンプ浚渫工法に比べると作業に時間がかかるため、広い範囲を工事するのには向きませんが、反対に狭い場所や港のような構造物が近くにある場所でも作業が可能です。また、固い土にも対応することができます。
近年では、海中の土砂の巻き上げが必要以上に多くならないことから、環境に優しい工法としても注目されています。

浚渫工事の流れ

ここからは、ポンプ浚渫工法とグラブ浚渫工法の作業の流れをそれぞれ簡単にご紹介しましょう。

ポンプ浚渫工法では、ポンプ浚渫船と呼ばれる専用の船を用います。最初にスパッドと呼ばれる杭を水底に刺し、船の位置を固定。その後、船の先端についた吸水菅を海底に下ろし、カッターヘッドで海底の土砂を切り崩していきます。
切り崩された土砂は、船に積まれているポンプの力で水とともに吸い上げられ、排砂菅という管を通って、所定の場所へと運び出されます。

グラブ浚渫工法では、グラブ浚渫船という専用の船を用います。ポンプ浚渫工法同様、スパッドを刺して固定。その後はグラブバケットという爪のような機械を海底に下ろし、海底の土砂をすくい取ります。
すくい取った土砂は一度海上に持ち上げられ、水を切った後、土運船と呼ばれる土砂を運ぶための船に載せられ、所定の場所に運ばれます。

浚渫工事の建設業許可を得るためには?

浚渫工事は、建設業法第3条3項で定められている28種類の建設業の許可業種のひとつであり、事業としてその工事に携わる際には、建設業許可を取得しなければなりません。
その許可を得るためには、営業所に「専任技術者」と呼ばれる専用の資格を持った人を配置し、その人の「専任技術者証明書」の提出が必要になります。
浚渫工事では、下記のいずれかの資格を取得することで、専任技術者になることができます。

なお、専任資格者は、下記に示す土木施工管理技士や技術士の資格を保有しなくても、10年以上浚渫工事に関わった実務経験があればなることができます。実務経験は学歴と掛け合わせることも可能で、高等学校の卒業で5年、大学や高専の卒業で3年の実務経験があれば、専任技術者としての要件を満たせます。

土木施工管理技士は、建設業法にもとづいた国家資格です。1級と2級ではできる作業の種類が異なりますが、土木の施工管理に携わるために必要不可欠な資格です。取得するためには、実地と学科それぞれの試験があり、その両方に合格することで初めて取得できます。

土木施工管理技士の受験資格には、詳細な規定があります。
2級の場合は、学歴と実務経験を合わせて下記の4つのうちいずれかの条件にあてはまれば、受験が可能になります。

<土木施工管理技士2級 受験条件>
・大学・専門学校で高度専門士の称号を得た上で卒業し、1年以上(指定学科卒業)もしくは1年6ヵ月以上(指定学科以外卒業)の実務経験を積む
・短期大学・高等専門学校・専門学校で専門士の称号を得た上で卒業し、2年以上(指定学科卒業)もしくは3年以上(指定学科以外卒業)の実務経験を積む
・高等学校・中等教育学校・専門学校を卒業し、3年(指定学科卒業)もしくは4年6ヵ月以上(指定学科以外卒業)の実務経験を積む
・8年以上の実務経験を積む

1級の場合は、上記の2級の条件からさらに学歴レベル上がり、受験に必要な実務経験期間が長くなります。主な条件は次のとおりです。

<土木施工管理技士1級 受験条件>
・大学・専門学校で高度専門士の称号を得た上で卒業し、3年以上(指定学科卒業)もしくは4年6ヵ月以上(指定学科以外卒業)の実務経験を積む
・短期大学・高等専門学校・専門学校で専門士の称号を得た上で卒業し、5年以上(指定学科卒業)もしくは7年6ヵ月以上(指定学科以外卒業)の実務経験を積む
・高等学校・専門学校を卒業し、10年以上(指定学科卒業)もしくは11年6ヵ月以上(指定学科以外卒業)の実務経験を積む
・15年以上の実務経験を積む

<土木施工管理技士1級 受験条件(2級合格者の場合)>
・土木施工管理技士2級合格後に5年以上の実務経験を積む
・高等学校、中等教育学校、専門学校を、高度専門士または専門士の称号未取得での卒業後、9年以上(指定学科卒業)もしくは10年6ヵ月(指定学科以外卒業)の実務経験を積む
・14年以上の実務経験を積む

浚渫工事の従事に必要な技術士の資格には、建設部門、水産部門、総合技術監理部門があります。
大学など指定された教育課程を修了もしくは一次試験を合格した者で、以下のいずれかの要件を満たすと二次試験の受験が可能になります。

<受験条件>
・7年以上の実務経験を持つ監督者(先輩や上司)の指導のもと、4年以上の実務経験を積む
・7年以上の実務経験を積む
・技術士補として、4年以上の実務経験を積む

なお、技術士補の資格については受験資格等は定められておらず、誰でも受験することが可能です。

浚渫工事に対する知識を身につけ、新たなジャンルへチャレンジしてみよう

浚渫工事の概要と仕事の流れのほか、必要になる資格について解説しました。業務内容が特殊な浚渫工事は、必要となる資格の要件もそれなりに厳しく、知識と経験の両方が問われる難度の高い仕事でもあります。
この仕事にチャレンジしてみたいと思っている人は、必要な資格の資格要件や取得方法についてしっかりと押さえ、取得に向けた準備を進めることが大切です。

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