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防水工事とは?その目的や種類、工法を解説

防水工事は、建物の屋根や屋上、外壁、バルコニーといった風雨にさらされる部分に防水処理を施し、雨や雪が建物内部に侵入するのを防ぐための工事です。梅雨があり、冬には雪が降る日本において、水から建物を守る防水工事は欠かすことができません。
ここでは、防水工事の目的と種類のほか、工法について解説します。

防水工事の目的

防水工事の大きな目的は、名前のとおり水が建物の内部に入り込むのを防ぐことです。
しかし、新築時に防水工事を施していても、経年劣化で効果が薄れていくことは免れません。定期的に点検とメンテナンスをして、漏水を予防していくことが大切です。また、万が一建物に漏水が見つかったら、すぐに防水工事をして建物を守る必要があります。
そのほか、建物に防水工事を施す目的は大きく分けて3つあります。どのような目的があるのか確認しておきましょう。

防水工事の目的のひとつは、水が建物の内部に入り込まないようにして、建物の強度を保つということ。漏水は、建物全体の耐久性を著しく低下させます。
水が建物の内部に入り込むと、木造では建物を支える柱や梁が腐ってしまいます。また、コンクリートは中性化して鉄筋に錆が生じてしまい、そうなると強度がどんどん弱くなってしまうのです。定期的なメンテナンスにかかるコストを抑えるためにも、最初にしっかりと防水工事を行っておくことが重要です。

木造かコンクリートかにかかわらず、雨水は建物内外のさまざまな部分に染みや変色を生じさせて見た目を損ねます。防水工事を行うことで、経年劣化を防ぎ、美観を保つことができます。適切な防水工事は、建物の美しさや機能を保ったまま保全する上で、非常に重要な役割を果たしているのです。

目の届かないところで漏水していると、知らず知らずのうちにその周辺でカビが発生し、ぜんそくなどのアレルギーを引き起こすこともあります。防水工事は、将来にわたって安心・安全に建物を使い続けるために欠かせないものなのです。

防水工事の工法とその流れ

防水工事には、大きく密着工法と絶縁工法の2つがあります。それぞれどのような特徴があるのか、工事の流れも含めて解説します。

密着工法は、雨水や雪の侵入を防ぐために防水層を何層も重ね、下地に密着させる工法で、一般の住宅やマンションのベランダなどで行われるスタンダードな防水工事です。

大きな器具を必要としないため工期を短くすることができ、コストパフォーマンスが良いことがメリットです。また、防水層と下地のあいだに空気を含まないため、居住者など限られた人の歩行に耐えられるレベルの強度の軽歩行と、人や車などが頻繁に通行することにも耐えられるレベルの強度である重歩行のいずれにも対応できます。防水面に継ぎ目がないので、見た目がきれいに仕上がるのも密着工法の良さでしょう。

一方で、防水層が下地に密着するため、下地となる部分の状態が悪化している場合はひび割れや膨れが発生しやすく、工事が難しいという特徴もあります。
密着工法の流れは次のようになります。

<密着工法の流れ>
1. 下地部分をきれいに清掃する(目に見えるちりやほこり、枯れ葉などを取り除くほか、必要であれば高圧洗浄を行う)
2. ひび割れ・浮きなどの修繕をして、密着性を高めるプライマーを塗布する
3. 補強クロスの上から防水材を複数回塗り重ねて、厚さを出す
4. 最後にトップコートを塗って完成

絶縁工法は、密着工法とは違って下地と防水層を密着させずに空気を含ませ、通気層を造る工法です。絶縁工法の場合、防水層が下地から浮いているため、下地の状態が悪くてもその影響を受けません。下地にひび割れや浮きがあったり、多少濡れていたりしても施工可能な場合もあり、多くの現場で活用できる工法といえるでしょう。
元々はアスファルトの防水工事で使われてきた工法でしたが、今では一般的な防水工事にも用いられるようになりました。

メリットは、耐久性があり、メンテナンスにかかるランニングコストを抑えられること。下地が発する蒸気を通気層から外に逃がすことができるので、湿度を溜め込まず、防水層へのダメージを最小限にとどめることができます。密着工法では下地の膨れが気になって工事ができない箇所や、複雑な造りをしている箇所の施工に向いています。

デメリットとしては、軽歩行はできても重歩行はできないこと。人や車が頻繁に行き交う部分や、重い物を置いておく場所には適していません。
絶縁工法の流れは次のようになります。

<絶縁工法の流れ>
1. 現地の掃除を行い、必要な補修をしてプライマーを塗る
2. ベランダやバルコニーの勾配が排水溝に向かっていることを確認しながら合板を張りつける
3. 絶縁シートを敷いて、下地とのあいだに空気が入る層を造る
4. 蒸気を外部に排出させる脱気装置をつける
5. 防水層を塗り重ねていく
6. トップコートを塗って完成

防水工事を施す場所や目的に合わせた防水方法を

次に、防水工事の具体的な方法を見ていきましょう。防水工事は大きく分けて5種類あり、工事場所や目的に合わせて適切な防水方法を選択します。

ウレタン防水は、防水工事の中でも最もスタンダードな方法です。防水層が軽いので建物に負担がかからず、定期的なメンテナンスで水や雨、雪、紫外線などによる劣化から長期にわたって施工箇所を守ることができます。複雑な造りの場所でも、シームレスで美しい見た目を形成できることもメリットのひとつです。

アスファルトシート防水は、ビルやマンションの屋上、一般住宅における平面状の屋根などで多く採用されている防水工事です。アスファルトに合成繊維不織布を含ませて作った防水シートと下地を熱で密着させるため、耐久性に優れています。ただし、シートを熱して溶かす際に、においや煙が生じるため、周辺への影響を抑えながら工事する必要があります。

FRPとはFiber Reinforced Plasticsの略称で、繊維強化プラスチックのことです。FRP防水では、ポリエステル樹脂を塗布してからガラスマットを貼りつけ、防水用ポリエステル樹脂を染み込ませて硬化させます。
アスファルトシート防水と同じく施工ににおいが出るものの、軽量で強靭なのが特徴。耐酸性があり、酸性雨や紫外線から建物を長期的に保護することができます。

塩ビシート防水は、塩化ビニールシートを下地に貼りつけていく防水工事です。耐久性もあり、耐摩耗性もあるので軽歩行が可能なのがメリットでしょう。既存のシートが傷んだら、そのまま塩ビシートをかぶせて使用することもでき、低コスト・短期間で防水できる優れた方法のひとつです。
ただし、シートを貼りつけていくため複雑な形状の下地ではきれいに施工できない場合がある、衝撃に弱いといったデメリットがあることも知っておく必要があります。

防水工事は建物の維持に必要不可欠

建物を水や紫外線から守る防水工事には、建物の強度を保ち、アレルギーの原因となるカビなどを防ぐという役割もあります。工法は下地の状態や求める効果によってさまざまなので、予算と施工場所に応じて選ぶことになります。
また、防水工事は、定期的なメンテナンスで状態を維持していくことがとても大切です。雨漏りが確認されてからでは修繕のコストもかさむため、定期的にチェックをして、水漏れを未然に防ぐ必要があります。

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