専門工事会社では、予定はホワイトボード、日報は紙、現場からの連絡はLINE、原価はExcelというように、同じ工事の情報が複数の場所に分かれていることがあります。現場が増えるほど、予定変更の連絡や日報の回収、出面・原価の集計に時間がかかります。
結論からいうと、自社の予定・日報・出面・原価を楽にしたい専門工事会社は、施工管理アプリとは別に『現場管理アプリ』を比べるのがおすすめです。
この記事では、現場管理アプリの機能や利用目的、選び方を整理したうえで、専門工事会社が比較するべき4サービスを紹介します。
【専門工事会社向け】日報・差配・原価管理についてクラフトバンクに無料で相談する
現場管理アプリは自社の予定・日報・原価などを効率化する
「現場管理アプリ」という言葉に統一された定義があるわけではありません。
この記事では、専門工事会社などが自社の案件・予定・日報・出面・勤怠・写真・原価などを管理するために使うアプリやシステムを「現場管理アプリ」として整理します。
たとえば、これまでホワイトボードを見なければ分からなかった翌日の予定をスマートフォンから確認したり、紙の日報を現場から提出したり、入力された人工を出面や労務費の集計に利用したりできます。
重要なのは、紙をスマートフォンに置き換えることだけではありません。
現場で一度入力した情報を、事務所側で再びExcelへ入力せずに、出面・勤怠・帳票・原価などへ利用できるかによって、実際に減らせる作業量は大きく変わります。
現場管理アプリと施工管理アプリでは主な利用目的が異なる
現場管理アプリと施工管理アプリは機能が重なることもあり、製品名だけでは明確に区別できません。
この記事では、違いを次のように整理します。
比較項目 | 現場管理アプリ | 施工管理アプリ |
|---|---|---|
主な目的 | 自社の現場業務・人員・事務処理を効率化する | 工事関係者で施工情報を共有し、現場全体を進める |
主な利用場面 | 差配、日報、出面、勤怠、原価、請求など | 工程、写真、図面、検査、施工書類など |
比較しやすい会社 | 自社の建設職人さんを抱える専門工事会社など | 元請・ゼネコン・工務店など |
確認したいこと | 現場の入力を自社の集計・原価管理へ利用できるか | 協力会社を含めて施工情報を共有できるか |
現場管理アプリは自社の日々の業務改善に向いている
専門工事会社では、「明日誰をどの現場へ配置するか」「今日何人工かかったか」「材料費を含めてこの工事はいくらかかっているか」といった自社の管理が毎日発生します。
そのため、自社の建設職人さんの差配、日報・出面、勤怠、見積、請求、原価などを改善したい場合は、それぞれの業務に対応する現場管理アプリを比較します。
施工管理アプリは現場全体の工程・図面・写真共有に向いている
施工管理アプリには、工程表・写真・図面・検査・施工書類などを、元請と協力会社を含む関係者で共有できる製品が多くあります。
元請から指定された施工管理アプリを専門工事会社が利用することもありますが、そのアプリへの入力だけで、自社の差配・日報・勤怠・原価管理まで完了するとは限りません。
元請への報告と自社の業務管理は分けて考え、二重入力がどこまで残るかを確認することが重要です。
現場管理アプリでは日報の先まで確認する
現場管理アプリによって対応範囲は異なります。単に「日報機能あり」「原価管理あり」という機能名だけで判断せず、入力した情報がその後の業務でどう使われるかまで確認しましょう。
機能 | 確認したい内容 |
|---|---|
差配・予定 | 建設職人さん・協力会社・車両などの予定を確認し、変更後の予定を現場へ共有できるか |
日報・出面 | スマートフォンから日報を提出し、人工・作業時間を現場別・人別に集計できるか |
勤怠 | 出退勤を記録し、勤務実績や出勤簿の作成に利用できるか |
写真・報告書 | 現場写真を案件ごとに保存し、報告書や写真台帳の作成に利用できるか |
見積・請求 | 案件情報を使って見積書・請求書を作成し、請求漏れを確認できるか |
原価・利益 | 労務費・材料費・外注費・経費などを案件ごとに集計し、工事途中の採算を確認できるか |
たとえば、紙の日報をスマートフォンへ変えても、その内容を事務担当者がExcelへ再入力しているのであれば、月末の集計作業は大きく変わりません。
逆に、日報に入力した人工を出面や労務費へ反映し、材料費などと合わせて工事原価を確認できれば、現場と事務所の両方の作業を減らせます。
写真・報告書を中心に効率化したい会社と、差配・日報から原価・利益まで管理したい会社では、選ぶべきサービスも変わります。
現場管理アプリは現在の手作業から選ぶ
最も時間がかかっている業務を特定する
最初に、現在どの作業に時間がかかっているかを整理します。
たとえば、
- 予定変更のたびに建設職人さんへ電話している
- 紙の日報を事務担当者がExcelへ入力している
- 月末に出面をまとめて集計している
- 写真がLINEに流れて探せない
- 見積書と請求書へ同じ内容を入力している
- 工事が終わるまで原価・利益が分からない
といった状態です。
「システムを入れたい」ではなく、「この作業をなくしたい」まで具体化してから比較すると、自社に必要な機能を絞りやすくなります。
一度入力した情報をどこまで利用できるか確認する
現場管理アプリを比較するときは、機能数だけでなく情報の流れを確認します。
たとえば、
日報を入力する
→ 人工・出面を集計する
→ 労務費として原価へ反映する
→ 工事台帳や利益を確認する
ところまで一連で行える製品もあれば、日報の提出・集計を中心とする製品もあります。
現在の業務をデモで再現してもらい、どこに手入力が残るのかを確認しましょう。
実際に入力する建設職人さんにも操作してもらう
管理者にとって便利でも、毎日入力する建設職人さんが使えなければ情報は集まりません。
スマートフォンから迷わず入力できるか、予定をどのように確認するか、日報を出し忘れた場合にどう通知されるかなどを確認します。
無料トライアルやデモがある場合は、事務担当者だけでなく実際に利用する建設職人さんにも触ってもらうと判断しやすくなります。
料金は初期費用・月額・人数・支援費用まで確認する
料金体系はサービスごとに異なります。
月額料金だけでなく、
- 初期費用
- 利用人数による料金
- オプション料金
- データ容量
- 導入支援費用
- 最低契約期間
まで確認しましょう。価格が安くても、既存のExcelや別システムが多く残れば、二重入力の作業も残ります。現在使っているツールをどこまで置き換えられるかも含めて比較することが重要です。
現場管理アプリおすすめ4選を比較
2026年11月5日時点の各社公式情報をもとに、専門工事会社が比較しやすい4サービスを整理しました。
サービス | 向いている会社 | 主な対応範囲 | 料金 |
|---|---|---|---|
クラフトバンクオフィス | 差配・日報から原価・工事台帳・利益まで見直したい専門工事会社 | 予定、日報、勤怠、出面、見積、実行予算、原価、請求、工事台帳など | 個別見積もり |
サクミル | 費用を抑えながら見積・日報・原価・請求までまとめたい工事会社 | 案件、予定、日報、写真、見積、実行予算、原価、請求、工事台帳など | 初期0円、導入浸透期間は月額9,800円・税別 |
現場Hub | 設備工事・メンテナンス案件を含め、案件情報や事務処理をまとめたい会社 | 案件、予定、日報、写真、見積、報告書、請求、原価、保守管理など | 個別見積もり |
現場ポケット | 日報・写真・工程・報告書をシンプルに始めたい会社 | 日報、写真、トーク、工程、報告書、顧客管理など | 年間契約13,500円/月、月額契約15,000円/月・税別 |
クラフトバンクオフィス|差配・日報から原価・利益まで見直したい会社向け
クラフトバンクオフィスは、工事会社向けの経営管理システムです。
予定・差配、日報、打刻・出面、写真・文書、顧客・案件、見積・実行予算、仕入・支払、請求、原価、工事台帳、経営レポートなど、専門工事会社で発生する業務を幅広く扱えます。
建設職人さんはLINEから日報を提出したり、予定の通知を受け取ったりできます。日報に入力した情報を出面や労務費の集計に利用できるため、紙やLINEで集めた内容を事務担当者がExcelへ再入力している会社では、転記作業を減らしやすくなります。
株式会社河東工業の事例では、以前は職長が現場を抜けて電話で段取りを調整し、手書きの予定をExcelへ入力していました。導入後は事務担当者が予定を入力し、Web上のホワイトボードから担当や配置を共有しています。日報や原価の集計も自動化されたと紹介されています。
会社ごとの帳票や管理方法に合わせた調整にも対応し、導入時には対面説明会、電話・チャットによる回数無制限のサポートが案内されています。
2026年11月5日時点で具体的な料金は公開されておらず、導入する機能や業務内容に応じた個別見積もりです。オンラインまたは訪問でのデモを依頼できます。
差配や日報だけでなく、その情報を工事原価・工事台帳・利益管理まで利用したい専門工事会社では、最初に比較したいサービスです。
参考:
クラフトバンクオフィス公式サービスページ
株式会社河東工業の導入事例
【専門工事会社向け】今使っている日報・原価表についてクラフトバンクに無料で相談する
サクミル|価格を抑えて見積・日報・原価・請求まで始めたい会社向け
サクミルは、案件管理、スケジュール、写真、作業日報、見積、実行予算・原価、請求、工事台帳、出面、発注・仕入などに対応する建設業向けサービスです。
作業日報から工事台帳へ原価を集計でき、資材費・労務費・外注費・経費などを項目別に確認できます。日報だけではなく、見積から請求・入金、工事ごとの利益確認まで一つのサービスで始めたい会社に向いています。
2026年11月5日時点で初期費用は0円です。無料トライアルは2か月間用意されています。
料金は、無料トライアル開始から12か月後の月末までを「導入浸透期間」として月額9,800円(税別)で、20アカウントと300GBが含まれます。利用規約上の通常基本月額は19,800円(税別)です。21アカウント以上は1アカウントあたり月額1,000円(税別)で追加できます。
標準機能を比較的低い費用から利用し、見積・日報・原価・請求などをまとめたい会社では有力な候補です。
現場Hub|設備工事・メンテナンスを含む案件管理に向いている
現場Hubは、工事・メンテナンス会社向けの業務管理システムです。
案件情報、スケジュール、勤怠・出面、工事写真、日報、見積、報告書、請求・入金、原価などを扱えます。保守管理契約や収益管理にも対応しています。
特に、設備工事や修理・点検など、短期間の案件を数多く扱う会社では比較しやすいサービスです。公式の導入事例でも、給排水衛生工事・メンテナンス会社が、過去の現場情報を探す時間や社内の連絡業務を削減した事例が紹介されています。
協力会社ごとに閲覧・変更できる範囲を設定できるほか、API・CSVによる他システムとのデータ連携にも対応しています。導入時には現在の業務や帳票のヒアリングを行い、設定・データ取り込み・運用支援まで提供しています。
2026年11月5日時点で具体的な料金は公開されておらず、実施内容に応じた個別見積もりです。2週間〜1か月を目安とした無料トライアルが案内されています。
設備工事・メンテナンスを中心に、案件・予定・報告書・請求・原価まで幅広く管理したい会社では候補になります。
現場ポケット|日報・写真・工程・報告書をシンプルに使いたい会社向け
現場ポケットは、建築用塗料メーカーのアステックペイントが提供する現場管理アプリです。
主な機能は、日報、写真、トーク、工程、報告書、顧客管理です。
建設職人さんがスマートフォンから日報を入力すると、現場別・従業員別に集計できます。現場で撮影した写真は案件ごとのアルバムへ保存され、写真を使った報告書も作成できます。工程表もスマートフォンから作成・変更できます。
アカウント数、データ容量、現場登録数が無制限なのも特徴です。協力会社を含めて多くの人へアカウントを発行しても、人数による追加料金は発生しません。
一方、2026年11月5日時点の公式機能一覧では、見積・請求・工事原価・利益管理は主な機能として案内されていません。
そのため、原価・利益までまとめることよりも、まず日報・写真・工程・報告書など、現場で毎日発生する情報共有をシンプルに改善したい会社に向いています。
料金は年間契約が月額13,500円(税別)、月額契約が15,000円(税別)です。導入時の初期サポート費用は要相談となっています。無料の体験セミナーも用意されています。
4サービスは改善したい業務から選ぶ
4サービスは対応範囲が異なるため、単純に機能数だけで順位を付けるべきではありません。
差配・日報・勤怠から原価・工事台帳・利益まで見直したい専門工事会社では、クラフトバンクオフィスが比較しやすいでしょう。会社独自の帳票・計算方法を残したい場合や、建設職人さんへの説明を含めて導入支援を受けたい場合にも候補になります。
見積・日報・原価・請求などを標準機能で幅広く使い、費用を抑えて始めたい場合はサクミルが候補です。
設備工事・メンテナンス案件を多く扱い、案件情報・報告書・請求・原価をまとめたい場合は現場Hubを比較するとよいでしょう。
日報・写真・工程・報告書を中心に、人数を気にせずシンプルに始めたい場合は現場ポケットが向いています。
自社に合うか判断するときは、サービス紹介の画面を見るだけではなく、現在使っている日報・予定表・原価表・報告書などを持ち込み、「今の作業のどこがなくなるのか」を確認することが重要です。
現場管理アプリに関するよくある質問
現場管理アプリと施工管理アプリの違いは何ですか?
明確に統一された呼び方ではありません。
この記事では、自社の予定・日報・出面・原価などを効率化するものを現場管理アプリ、元請と協力会社などが工程・写真・図面・検査といった施工情報を共有するものを施工管理アプリとして整理しています。
実際には両方の機能を持つサービスもあるため、名称よりも必要な業務に対応しているかを確認しましょう。
現場管理アプリの料金はいくらですか?
サービスによって異なります。2026年11月5日時点では、サクミルは導入浸透期間が月額9,800円(税別)、現場ポケットは年間契約で月額13,500円(税別)です。
クラフトバンクオフィスと現場Hubの具体的な料金は公開されておらず、個別見積もりです。
月額だけでなく、初期費用、アカウント追加、オプション、導入支援まで含めて比較してください。
小規模な専門工事会社でも導入する意味はありますか?
会社の人数だけで判断する必要はありません。
少人数でも、予定変更の連絡が社長に集中している、紙の日報をExcelへ転記している、工事ごとの原価が分からないといった作業があれば、現場管理アプリで減らせる可能性があります。
一方、現場数が少なく現在の方法で問題なく管理できている場合は、無理に導入する必要はありません。
元請指定の施工管理アプリと併用できますか?
併用できます。元請指定のアプリでは、その現場に必要な工程・写真・書類などを共有し、自社では別の現場管理アプリを使って予定・日報・勤怠・原価などを管理する方法があります。
ただし、同じ内容を二重入力する作業が増えないよう、取引先指定の帳票を自動作成できるか、CSVやAPIで連携できるかなども確認しましょう。
まとめ
現場管理アプリを選ぶときは、「有名なサービスか」「機能が多いか」ではなく、現在のどの手作業を減らしたいかから考えることが重要です。
専門工事会社では、予定・差配、日報・出面、勤怠、写真、見積・請求、原価などの業務がつながっています。現場で入力した情報を、その後の事務処理まで利用できるかを確認しましょう。
今回比較した4サービスでは、
- 差配・日報から原価・工事台帳・利益まで見直すならクラフトバンクオフィス
- 見積・日報・原価・請求を低価格から幅広く使うならサクミル
- 設備工事・メンテナンス案件の情報を幅広くまとめるなら現場Hub
- 日報・写真・工程・報告書をシンプルに始めるなら現場ポケット
という違いがあります。専門工事会社で、紙・LINE・Excelに分かれた日報・予定・原価管理を見直したい場合は、現在使っている帳票を見せたうえで、自社の業務がどこまで変わるかを確認するとよいでしょう。