建設現場では、最初に作った工程表どおりに工事が進むとは限りません。
職人を確保できない、資材の納品が遅れる、雨で作業ができないなど、工程が変わる要因は日々発生します。
こうした変化に対応しながら工期を守るために必要なのが「工程管理」です。
工程管理では、単にスケジュールを確認するだけではなく、工程・人員・資材・進捗をまとめて把握し、予定と実績のズレに合わせて調整していく必要があります。
本記事では、工程管理の4つのカテゴリから、基本的な手順、現場マネージャーがやるべきこと、Excelと工程管理ツールの違いまでわかりやすく解説します。
「正直工程表が正しく運用できているか不安だ...」「現場は頑張っているが納期を守れないことがある...」
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工程管理の主な4つのカテゴリ

工程管理というと、工程表を作成してスケジュールを確認する仕事をイメージしがちですが、実際にはそれだけではありません。
予定通り工事を進めるためには、「工程・スケジュール」「人員・協力会社」「資材・機材」「進捗・変更」の4つを連動させて管理する必要があります。
例えば、資材の納品が1日遅れれば、その作業を担当する職人や後工程の協力会社の予定まで変わる可能性があります。
そのため工程表だけを見るのではなく、「いつ・誰が・何を使って・どこまで進めるのか」をまとめて管理することが重要です。
工程・スケジュール管理
工程・スケジュール管理では、着工から竣工までに必要な作業を整理し、「いつ・どの順番で進めるのか」を決めます。
まず全体工程表で工事全体の流れを整理し、施工段階では月間工程表や週間工程表まで細分化して管理します。
特に、遅れると竣工日に直接影響する「クリティカルパス」は優先的に進捗を確認しましょう。
予定より遅れている場合は、人員の追加や作業順序の変更などを検討し、実際の進捗に合わせて工程を調整します。
人員・協力会社の管理
工程表に予定が入っていても、実際に作業する職人がいなければ工事は進みません。
各工程で必要な人数を把握し、協力会社と現場へ入る日程・人数を事前に調整します。
特に複数の現場を動かしている場合は、ある現場の工程変更によって別の現場の人員が不足することもあります。
工程を変更するときは、その現場だけでなく、他現場への影響まで確認することが重要です。
資材・機材の管理
必要な資材や機材を、工程に合わせて手配することも工程管理の一つです。
管理対象 | 主な確認項目 |
建築資材 | 発注日・納品日・数量 |
仮設材・足場 | 使用期間・設置・撤去日 |
重機・車両 | 使用日・搬入時間 |
消耗品 | 在庫数・使用量 |
特に納期の長い資材は、発注が遅れると後工程まで影響する可能性があります。
一方で、早く納品しすぎると保管場所や破損・劣化の問題が生じます。
工程表を確認しながら、必要なタイミングで現場に届くよう手配しましょう。
進捗・変更の管理
工事が始まったら、工程表と実際の進捗を比較します。
雨天や資材の納品遅れ、仕様変更などによって予定との差が生じた場合は、工程表を更新し、人員・協力会社・資材など影響する関係者へ共有します。
追加工事や仕様変更が発生した場合は、工程だけでなく人件費や資材費など原価への影響も確認しておきましょう。
工程管理では、予定との差を早めに発見し、後工程へ影響が広がる前に調整することが重要です。
工程管理の基本的な手順

1.作業内容と必要な工期を整理する
最初に、工事を完了するまでに必要な作業を洗い出します。
作業を「内装工事」とまとめるのではなく、下地工事、ボード施工、クロス施工、床仕上げなど、工程を管理できる単位まで分けることが重要です。
次に、それぞれの作業に必要な日数と前後関係を整理します。
工期を「いつも3日程度だから」と経験だけで決めるのではなく、過去の施工実績や歩掛(ぶがかり)を参考にしましょう。
また、Aの作業が終わらなければBを始められない場合、Aの遅れはそのままBへ影響します。
この段階で、「何をするのか」「何日必要なのか」「どの順番で進めるのか」を整理することが工程表作成の土台になります。
2.人員・資材を割り当てて工程表を作成する
作業内容と必要日数を整理したら、人員や資材の条件を加えて実際の日程へ落とし込みます。
工程表を作成するときは、次の項目をセットで確認します。
確認項目 | 確認する内容 |
作業 | 作業日・必要日数 |
人員 | 職人・協力会社の予定 |
資材・機材 | 納入日・使用日 |
前後工程 | 作業同士のつながり |
工程表には、予定を把握しやすい「バーチャート工程表」や、作業同士の前後関係を表しやすい「ネットワーク工程表」などがあります。
重要なのは、きれいな工程表を作ることではなく、その日程で人員・資材を確保し、実際に施工できるかです。
工程表を作成したら、協力会社や職長とも予定を確認して工程を確定させましょう。
3.進捗を確認して工程表を更新する
工事が始まったら、工程表と実際の進捗を定期的に比較します。
例えば、5日間で完了する予定の作業が3日目でも半分まで進んでいなければ、人員の追加や作業順序の変更など、早めの対応が必要です。
予定と実績は、次のように比較します。
確認項目 | 予定 | 実績 | 対応例 |
作業進捗 | 60% | 40% | 人員追加・作業順序を見直す |
必要人員 | 5人 | 3人 | 応援人員を手配する |
資材納入 | 8月10日 | 8月12日予定 | 作業日・後工程を調整する |
作業完了 | 8月15日 | 8月17日見込み | 協力会社へ変更を共有する |
工程変更が必要になった場合は、工程表を最新の予定へ更新し、関係する協力会社や職人へ共有します。
工程表は工事前に作るだけの資料ではなく、予定と実績を比較しながら工事完了まで更新し続ける管理表として活用することが重要です。
工程管理で現場マネージャーがやるべきこと

工程管理では、工程表を作成するだけでなく、その工程を実際に動かすための調整が欠かせません。
例えば、「来週から内装工事を始める」という予定を立てた場合、協力会社への連絡、必要な職人の確保、資材の発注、前工程の進捗確認などを事前に進める必要があります。
現場マネージャーの役割は、工程表に書かれた予定を現場で実行できる状態にすることです。
具体的には、「工程表の作成とスケジュール調整」「人員・資材の手配と進捗確認」「工程変更と関係者への情報共有」の3つを中心に行います。
工程表の作成とスケジュール調整
まず、工事全体の工程表を作成し、各作業の日程を決めます。
工程表を作る際は、必要な作業日数だけでなく、作業の前後関係や協力会社の予定、資材・重機の搬入日なども考慮する必要があります。
工程表を作成するときは、主に次の内容を確認しましょう。
確認項目 | 主な内容 |
作業 | 必要日数・前後関係 |
人員 | 協力会社・職人の予定 |
資材・重機 | 発注・搬入予定 |
工程リスク | 雨天・納期遅延など |
また、最初から余裕のない工程を組むと、雨天や納品遅延が発生しただけで後工程まで影響する可能性があります。
すべての工程に余裕を持たせるのではなく、天候の影響を受けやすい作業や後工程への影響が大きい作業を中心に、調整できる期間を設けましょう。
工程表は「理想通りに進んだ場合の予定表」ではなく、実際に現場で実行できるスケジュールにすることが重要です。
人員・資材の手配と進捗確認
工程表を作成したら、その予定に合わせて人員・協力会社・資材を手配します。
ここで注意したいのが、工程表に予定を入れたことと、手配が完了したことは別という点です。
そのため、先の工程を確認しながら必要な人員や資材を前もって手配します。
工事が始まった後は、実際の進捗も確認します。
完了予定日になってから遅れに気づくと、調整できる選択肢は少なくなります。
工程管理では、「遅れているか」だけでなく「このままでは遅れそうか」を早めに把握することが重要です。
工程変更と関係者への情報共有
建設現場では、天候や資材の納期、設計変更などによって工程が変わることがあります。
重要なのは、変更が発生したときに工程表を更新し、影響する関係者へ速やかに共有することです。
例えば、ある作業を2日後ろ倒しにすれば、後工程の協力会社や資材の納入、重機の手配などにも影響する可能性があります。
変更内容 | 確認・共有すること |
作業日の変更 | 協力会社・職人の再手配 |
資材の納期変更 | 作業開始日・保管場所 |
設計・仕様変更 | 工程・資材・追加費用 |
工期の変更 | 後工程・引き渡し日 |
特に変更があった場合に、電話や口頭だけで伝えて終わらせないようにすることが大切です。
工程表そのものを更新し、関係する協力会社や担当者が同じ最新情報を確認できる状態にしておきましょう。
また、追加工事や仕様変更が発生した場合は、工程だけでなく原価への影響も確認します。人件費や外注費、重機・仮設材のリース費などが増える場合は、変更内容と追加費用をセットで記録しておくことが重要です。
工程変更を工程表・人員・資材・原価へ反映し、関係者へ共有するところまでが現場マネージャーに求められる工程管理です。
工程管理の方法|Excelと工程管理ツールを比較(無料Excelテンプレ有)

工程管理には、Excelやスプレッドシートを使う方法と、専用の工程管理ツールを使う方法があります。
Excelは導入しやすく、現場に合わせて自由に工程表を作れるのがメリットです。一方、複数の現場や担当者で工程表を共有する場合は、更新や情報共有に手間がかかることがあります。
どちらかが必ず優れているわけではありません。管理する現場数や関係者の人数、現在の業務フローに合わせて選ぶことが重要です。
Excel・スプレッドシートで工程管理する方法
ExcelやGoogleスプレッドシートでは、縦軸に作業内容、横軸に日付を設定して工程表を作成できます。
工事全体を管理する「全体工程表」と、直近の作業や協力会社の予定を管理する「週間工程表」を使い分けると便利です。
クラフトバンクでは、すぐに使えるExcelテンプレートを無料で配布しています。
工程表のExcelテンプレートはこちら
https://craft-bank.com/template/koteihyo-org/
週間工程表のExcelテンプレートはこちら
https://craft-bank.com/template/shukankoteihyo-org/
Excelは手軽に始められる一方、現場や関係者が増えると、最新版が分からなくなったり、特定の担当者しか更新できなくなったりする点には注意が必要です。
工程管理ツールを活用する方法
複数の現場や担当者で工程を管理する場合は、専用の工程管理ツールも選択肢になります。
クラウド上で工程表を共有できるため、予定を変更しても関係者が最新の工程を確認しやすいのがメリットです。
製品によっては、スマートフォンからの確認・更新や、日報・写真・原価などの管理にも対応しています。
ただし、機能が多くても現場で使われなければ意味がありません。
必要な機能と現場での使いやすさの両方を確認して選びましょう。
Excelと工程管理ツールの選び方
Excelと工程管理ツールの主な違いは、次の通りです。
比較項目 | Excel・スプレッドシート | 工程管理ツール |
コスト | 低い | 利用料金が必要 |
作成・編集 | 自由度が高い | ツールの仕様に沿う |
情報共有 | ファイル管理が必要 | 最新情報を共有しやすい |
現場利用 | PC中心 | スマホ対応も多い |
他業務との連携 | 個別管理が中心 | 日報・原価などと連携可能 |
少数の現場を個別に管理するならExcel、複数の現場・担当者で情報を共有するなら工程管理ツールが一つの目安です。
「最新の工程表が分からない」「変更のたびに電話やメールで共有している」「工程・日報・原価を別々に管理している」といった課題が増えてきたら、工程管理ツールへの移行を検討するとよいでしょう。
工程管理を行う際の注意点
工程管理では、工程表どおりに進めることだけを意識すると、かえって現場に無理が生じることがあります。
工程を組む際は、特に次の3点に注意しましょう。
余裕のない工程を組まない
工期を優先して工程を詰めすぎると、雨天や資材の納品遅れなど、少しのトラブルでも後工程へ影響します。
特に天候の影響を受ける作業やクリティカルパス上の工程では、一定の調整余地を持たせることが重要です。
ただし、すべての工程に余裕を持たせるのではなく、遅延リスクの高い工程を中心に調整しましょう。
一部の担当者しか分からない工程表にしない
工程表が複雑すぎると、作成した担当者しか更新・管理できない状態になりがちです。
特にExcelでは、独自の関数やフォーマットを使いすぎると属人化につながります。
誰が見ても予定を把握でき、担当者が不在でも更新できる工程表を作ることが重要です。
工程だけでなく原価への影響も確認する
工期を守るために人員を追加したり、重機の使用期間を延長したりすれば、その分だけ原価も増加します。
工程変更が発生した際は、スケジュールだけでなく、人件費・外注費・資材費・リース費などへの影響も確認しましょう。
特に追加工事や仕様変更では、変更内容と追加費用を記録しておくことが重要です。
まとめ
工程管理では、工程表を作成するだけでなく、工程・人員・資材・進捗の4つを連動させながら管理することが重要です。
まず工事に必要な作業と日数を整理し、人員や資材を割り当てて工程表を作成します。工事が始まった後は予定と実績を比較し、変更があれば工程表を更新して関係者へ共有します。
小規模な現場であれば、Excelやスプレッドシートでも十分に工程管理できます。
一方で、複数の現場を同時に管理するようになると、「最新の工程表が分からない」「変更のたびに電話やメールで連絡している」「工程・日報・原価を別々に管理している」といった負担が増えてきます。
こうした状態になった場合は、工程管理ツールを活用して情報を一元化するのも一つの方法です。
クラフトバンクオフィスでは、工程管理だけでなく、案件管理や日報、見積・原価など、建設会社の日々の業務をまとめて管理できます。
工程表だけをデジタル化するのではなく、現場と事務所で扱う情報をまとめて管理することで、転記や確認、情報共有にかかっていた時間を減らしやすくなります。
ぜひ以下の資料をダウンロードして、活用事例を確認してみてください。