建設業では、工務店が工事を受注する際に工事見積書の提出が必要です。
工事見積書は、工事内容や金額について双方が合意し、後のトラブルやクレームなどを防ぐための大切な書類です。
また、見積書の内容から依頼主の信頼を獲得し、さらなる受注にもつなげられる可能性もあります。
この記事では、建設業における見積書について、以下の6点に分けて解説します。
- 建設業の見積書の構成
- 建設業の見積書に記載すべき項目
- 建設業の見積書の内訳の書き方【記入例】
- 建設業の見積書を作成する際の注意点
- 建設業の見積書を作成する方法
- 工種別の見積書の書き方
建設業における工事見積書の書き方や作成方法にお悩みの方の参考になれば幸いです。
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建設業の見積書の構成

ここからは、建設業の見積書の構成について解説します。
工事見積書は以下の3点で構成されます。
- 見積表紙
- 見積内訳書
- 見積条件書
弊社の無料エクセルテンプレートをもとにそれぞれ詳しく解説していきます。
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見積表紙

表紙には主に工事に関する概要を記載します。
表紙を見れば、工事の合計金額と工事全体が把握できます。
見積内訳書

内訳書は、表紙に記載されている金額の内訳の詳細で、ここを見ると各工事ごとのコストがわかります。
見積条件書
見積条件書には、工事業者が提示した見積金額で工事を行うための条件が記載されています。
工事の透明性を上げ、また顧客の信頼獲得につながります。
元請会社が下請会社に見積りを依頼する際は、建設業法第20条にもとづき、少なくとも次の8項目を具体的に示す必要があります(国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」)。見積条件書を作るときも、この8項目を基準にすると漏れを防げます。
- 工事名称
- 施工場所
- 設計図書(数量等を含む)
- 下請工事の責任施工範囲
- 下請工事の工程と、下請工事を含む工事全体の工程
- 見積条件、他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
- 施工環境、施工制約に関する事項
- 材料費、産業廃棄物処理などに関する元請・下請間の費用負担区分に関する事項
工務店側と依頼主側の認識の違いを防ぐには、条件書で工事範囲を明確にすることが大事。
抜け漏れの無い見積書作成をすれば、後のトラブル回避にもつながります。
建設業の見積書に記載すべき項目

見積書の作成にあたり、記載すべき項目があります。
タイトル
「御見積書」と記載されている部分で、表紙の一番上に記載します。
見積番号
建設業では何度も見積を再提出するため、見積番号の記載は必須です。
見積書には番号を振ります。
宛名
タイトル左下の見積先の会社名や屋号、担当者の部署や氏名を記載している部分です。
株式会社を(株)に省略しないことや、誤字脱字にも注意しましょう。
さらに、「様」「御中」も正しく使い分ける必要があります。
下記のように覚えると簡単です。
- 様→個人宛て
- 御中→企業や団体宛て
担当者宛ての場合は「様」を使います。
また「宛て」は使いません。
日付
発行日を指します。
見積有効期限の起算日になります
金額

金額は見積書作成には最も重要な部分です。
内訳表の下にも合計金額として記載します。
法定福利費

法定福利費は、従業員にかかる社会保険料の全般を指します。
法定福利費は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険など、法律で加入が義務づけられている保険料のうち、事業主が負担する分を指します。
2025年12月12日に施行された改正建設業法では、見積書に材料費・労務費・法定福利費などの内訳を明らかにするよう努めることとされ、注文者が、通常必要な材料費等を著しく下回る見積りを依頼することも禁止されました。
見積書では、法定福利費を工事費の中に含めず、次のように独立した項目として記載します。
法定福利費(事業主負担分) 一式 ○○○,○○○円
金額は「労務費 × 事業主負担分の保険料率の合計」で計算するのが基本です。保険料率は年度や加入している健康保険によって変わるため、各専門工事業団体が作成した「標準見積書」(国土交通省のサイトで一覧を確認できます)を参考に、最新の料率で計算しましょう。
見積有効期限
見積有効期限は、記載必須項目です。
有効期限の長さに法律上の決まりはなく、1か月〜3か月程度で設定するのが一般的です。
建設業は材料価格が大きく変動しやすく、価格変動で損失を被る可能性も否定できません。
期限を明確に設けておきましょう。
工事名、工事場所、工事概要
先に工事名、工事場所の說明をしておきましょう。
工事名と工事場所は以下の部分です。

工事の件名、工事を行う場所を記載します。
以下は工事概要の部分です。

工事概要欄には主に以下の項目が記載されます。
- 構造
- 階数
- 敷地面積
- 建築面積
- 延床面積
- 建ぺい率
- 容積率
改修工事などでは、改修する建物の規模、改修する部位、床面積などを記載します。
受け渡し方法
工期や受け渡し場所を記載します。
担当者
見積書を作成した担当者の、会社名、所在地、電話番号を記載し、社印や担当者印を捺印します。
法定福利費の明記、有効期限の設定、宛名の使い分け——見積書の記載ミスや漏れは、顧客からの信頼低下や損失リスクに直結します。見積書作成を仕組みで標準化し、抜け漏れをなくした会社の支援内容を、資料で確認してみてください。
建設業の見積書の内訳の書き方【記入例】
見積内訳書では、工事費を工種(工事の種類)ごとに分け、それぞれの数量・単位・単価・金額を記載します。発注者が「何にいくらかかるのか」を確認できるよう、直接工事費、諸経費、法定福利費、消費税の順に並べるのが一般的です。
以下は、店舗の内装改修工事を例にした記入例です。
名称 | 数量 | 単位 | 単価(円) | 金額(円) |
|---|---|---|---|---|
1. 仮設工事 | 1 | 式 | 180,000 | 180,000 |
2. 解体撤去工事 | 1 | 式 | 350,000 | 350,000 |
3. 軽量鉄骨下地工事 | 85 | ㎡ | 4,200 | 357,000 |
4. ボード張り工事 | 85 | ㎡ | 3,000 | 255,000 |
5. 内装仕上工事(クロス張り) | 160 | ㎡ | 1,300 | 208,000 |
6. 産業廃棄物処分費 | 1 | 式 | 120,000 | 120,000 |
直接工事費 計 | 1,470,000 | |||
現場管理費 | 1 | 式 | 147,000 | |
一般管理費 | 1 | 式 | 110,000 | |
法定福利費(事業主負担分) | 1 | 式 | 58,000 | |
小計 | 1,785,000 | |||
消費税(10%) | 178,500 | |||
合計 | 1,963,500 |
※記入例の金額は、説明のための仮の数値です。
内訳を書くときのポイントは、次の3つです。
- 「一式」は必要な項目だけにする:数量で示せるものは「㎡」「m」「箇所」などの単位で記載し、「一式」は仮設工事や諸経費など、数量で表しにくい項目にとどめます
- 直接工事費と諸経費を分ける:材料費・労務費などの直接工事費と、現場管理費・一般管理費を分けて書くと、発注者が金額の妥当性を判断しやすくなります
- 法定福利費は別の項目にする:工事費に含めず、独立した行として明示します
建設業の見積書を作成する際の注意点

ここからは、見積書を作成する際の注意点を解説します。
前述のとおり、見積書はわかりやすさが重要です。
以下の点を意識すれば、内容のわかりやすい見積書の作成が可能です。
- 階層を意識する
- 具体的な条件を記載する
- 修正する場合は古い見積書を残しておく
それぞれ解説します。
階層を意識する

建設業では、内訳項目が非常に多岐に渡るため、階層を意識して記載しましょう。
特に、大規模な施工の場合は、内訳項目を全て列挙すると非常に見づらいです。
上記の画像のように階層分けを行うと、わかりやすく整理されます。
具体的な条件を記載する
提出する条件書には、具体的な条件を記載しましょう。
前述のとおり、見積条件書は工事の透明性を上げ、さらに顧客の信頼を獲得できるものです。
さらに、具体的な条件の記載は、双方での認識違いの防止にもつながります。
簡単な工事の場合は、見積書の表紙に記載する形で問題ありませんが、大規模な工事の場合は、別途条件書を用意しましょう。
修正する場合は古い見積書を残しておく
見積書を修正する場合は、修正前の見積書を残しておきましょう。
エクセルなどで上書きした場合に、以前提出した内容が不明になるのを防ぐためです。
前の見積で依頼を希望されると、対応が困難になります。
パソコンソフトなどで見積を作成する際には、修正前のものを残しましょう。
建設業の見積書を作成する方法

ここからは、見積書を作成する方法を紹介します。
記載項目も多く、作成時は十分な配慮が必要となります。
効率的な見積書作成の方法は以下の2つです。
- ソフトを活用する
- テンプレートを活用する
それぞれ解説します。
見積書作成ソフトを活用する
見積書作成の効率化にはソフトの活用が便利です。
見積書の作成時の注意点でも挙げた、階層を分けた見積書作成も簡単。
また、見積から発注まで一元管理でき、さらなる効率化も期待できます。
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テンプレートを活用する
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工種別の見積書の書き方
見積書の基本的な書き方は工種が変わっても同じですが、内訳の項目や単価の考え方は工種によって異なります。工種別の書き方や、見積りに関わるルールは以下の記事で解説しています。
解体工事の見積もり算出方法は?費用の内訳・相場についても解説
塗装工事の見積書とは|書き方やポイント、インボイスを業者向けに解説
歩掛とは?読み方・計算方法・歩掛表の見方を初心者向けにわかりやすく解説
建設業法で規定されている見積期間とは?具体的な日数や営業日の数え方についても解説
【2026年最新】無料の積算ソフトおすすめランキング5選|土木・公共工事対応や価格を比較
建設業の見積書に関するよくある質問
建設業で見積書の作成は必須ですか?
建設業法第20条では、建設業者は請負契約を結ぶ際に、工事の内容に応じて見積りを行うよう努めること、また注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでに見積書を交付することが定められています。後のトラブルを防ぐためにも、工事の規模にかかわらず書面で提出しましょう。
見積書に印鑑は必要ですか?
見積書への押印は、法律で義務づけられているわけではありません。ただし、発行元を明確にし、書類の信頼性を高めるために、社印や担当者印を押すのが一般的です。電子データで送る場合も、社印の画像を入れておくと受け取る側が安心できます。
まとめ
今回は、建設業における見積書の書き方について解説しました。
詳細でわかりやすい見積書の提出は、依頼主の信頼獲得にもつながります。
信頼を獲得すれば、新たな案件の獲得につなげることも可能であるため、工事の規模に関わらず丁寧に作成し、記載項目の抜け漏れのない見積書作成が非常に重要です。
見積書提出で重要なのは、ツールを使用し作成の効率化を図ることと、送付の際はビジネスマナーやセキュリティ面に注意すること。
見積書を見る側に視点を置き、見積書作成を行いましょう。
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